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柴崎 友香『その街の今は』


小説というよりも、芸術品っぽかった。大阪の街の風景とそこで生活する人々が描かれています。それだけです。評価の高い作品ですが、良さがよくわからない。なんて言ったらいいのかわからない。でも、大切にしなきゃいけない本だと思いました。

川上弘美の解説は、すばらしかったです。こういう解説しづらい小説に対して、技巧などのうんちくからアプローチせずに、まっすぐ感想を書いてます。えらすぎる。

2009年5月9日

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争


内乱状態の日本。戦国時代のように、政府軍やら地方軍が戦いあっている。そんな無法地帯の片隅で、孤児の海人が妹弟を守り、助け合って暮らすという話。二部の『愚者と愚者』まで読みました。作者がお亡くなりになって、未完の大長編になったようで、続きが読めないのは残念ですが、十分におもしろかったです。

戦争をデフォルメした感じかなと思いました。国道xx号線を封鎖して、常陸軍がなんたら~とか、やたら詳しく書いてます。そんな感じなので、暴力、麻薬、性の乱れとかあっても、悲惨じゃない。一部は、孤児の海人が健気でいい子だと思って読んでました。

二部はジェンダー問題中心。女性、同性愛者、外国人、孤児のマイノリティ軍隊が協力し合って、日本人の男の軍隊と戦う。この後、作者がこの作品をどういう作品にするつもりだったのかが、分からない。残念だけども、しかたない。

2009年5月4日

大聖堂―果てしなき世界


前作はすばらしすぎでした。大聖堂の建立という地味だけど確固とした軸があり、そこに人々の運命が絡まりあって叙事詩的な味わいがありました。くらべてしまえば、続編は人物も物語も小粒になった感はあります。それでも、読ませる魅力はいっぱいです。

キングズブリッジの大聖堂で出会った4人の子供たちが、それぞれのドラマを経て人生を紡いでいくという話で、とても細かく人間を描いています。どうでもいいようなエピソードのひとつひとつが積み重なって、本の分厚さとおもしろさをつくってます。前作が物語ならば、続編は人間、かもしれないです。

中世イングランドとか修道院とか扱っている題材はマイナーだし、ストーリーも波乱万丈でも壮大でもない。なのに、読み始めるとやめられない作品でした。

2009年5月1日

東京湾景


オシャレ系の軽い恋愛小説かと思ったのに。なにこれ、凄くよかった。びっくりした。スタイリッシュな雰囲気に、文学をミックスした感じ。

東京湾を挟んで、品川埠頭で働く亮介とお台場で働く美緒。携帯サイトで知り合ったふたりは、心のどこかで終ることを意識して体の関係を持っていくという話で、淡々と冷めた目線で描かれています。

話の内容は興味がなく、おもしろかったとも感動したとも思わなかった。確かによかったのに、なにがよかったのか分からない。でも、これ、いいです。

2009年4月18日

沼地のある森を抜けて


作品の予備知識があったので、ぬか床SFとして読み始めた。これ、普通やらないでしょ失敗でしょってことをやってるから、珍妙なおもしろさがあるのかもしれないですね。先祖伝来の「ぬか床」からおかしな人たち沸いてくるという日常のナンセンスSFから、何故かトンデモ進化論へ物語は進んでいきます。

壮大なトンデモ進化論は、大好きです。くわえて、まさかのロマンティック。この作品は、狙ったわけじゃなくて、いろいろ失敗してるのかもとも思いますが、感動して笑った。

2009年4月13日