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夜市


  • 夜市
  • 恒川 光太郎 (著)
  • 角川グループパブリッシング (2008/05)

新人賞作品とはあまり相性がよくないのですが、それは重々承知で読み始めた日本ホラー小説大賞作品。薄い本で、幻想系の中編『夜市』と『風の古道』が収録されています。淡々と小ざっぱりまとまっていて、手堅い作品、という感じでした。

2008年8月28日

贖罪


  • 贖罪
  • イアン・マキューアン (著)
  • 新潮社 (2008/02)

子供であることは、怖いこと、です。想像力豊かな少女ブライオニーの幼い正義感と他愛のない虚栄心が、恋人たちを引き裂いた。前途有望な青年は刑務所へ送られ、のちに第二次世界大戦に従軍することとなり、少女の姉は看護婦となりロンドンで青年の帰還を待つ。この作品は、ブライオニーの生涯をかけた”贖罪”の物語です。

小説の限界と可能性を追及した作品、だとも言われてるそうです。試みはわかりますが、この作品にリアリズムは欲しくなかった。”恋人たちは生きのび、幸せに暮らすのである”、こういった定番的な物語の結末は、人の優しさと希望であって、文学のなんたらよりも、個人的にはずっと大切なことだったりします。むしろ、書き手の手の内を見せられたことに、作家としての見栄や弱さを感じたりしました。

カタルシスをとりあげられてしまって、ふてくされた感想になりましたが、おもしろかったという気持ちは、間違いないです。

2008年8月24日

クワイエットルームにようこそ


目を覚ますと、ここは市内最大の「ザ・精神病院」だった、という笑えるけど笑えない話。彼氏と喧嘩をしてなんとなく薬を飲んだだけで、昏睡はただの事故だったと言い張る主人公ですが、他の患者とふれあううちに、なにがフツーなのか分からなくなってしまう。けっこうシュールで、深みも笑いもあった。でも、これはやっぱり映像の文章。映画を見た方が楽しめただろうと思います。ところで枡野浩一の解説はひど過ぎる。解説で思わせぶりな自分語りはやめてほしい。

2008年8月22日

神のはらわた


『死の仕立屋』の続編。オベールは一筋縄じゃいかない変な作家だと、改めて思いました。前作で射殺された人肉愛好家に憑依された女刑事をめぐる、おかしなサスペンスホラーになるかと思いきや、そうではなかった。この作品はいったいなんなのだろう?パクパク人肉を食べて、生け簀の魚をさばくようにピチピチな人体を切り裂いて。その描写がまた滑稽で。話の内容はさておき、南仏の空気を味わい、フランス流の皮肉なユーモアに耳を傾けるのも悪くないです。

2008年8月17日

死の仕立屋


  • 死の仕立屋
  • ブリジット・オベール (著)
  • 早川書房 (2004/6/10)

フランスのサスペンス。オベールは、しゃれっけのあるナンセンスなセンスを持ってるミステリ作家。ですが、この作品はちょっと行き過ぎた感がありました。叙述トリックとあったんで、気を抜かずに読もう、と読み進めていたら、最後の最後でわかった。この作品は、自分が想像していたようなミステリとか叙述とかではなかった。盛大にバカバカしいB級サスペンス・シリーズの始まりだったようです。B級は好きなので、読み続けるつもり。

2008年8月14日